高校2年生必見! 9月18日英検S-CBTの予約申込開始! 2段階の申込方式の注意点について解説します【申込が延期されました】
英検S-CBTの申込が開始されます!
2020年の大学入試改革における目玉、英語における「4技能試験の活用」が具体的に動き出しました。9月18日から2020年度4月~7月にかけて行われる「英検S-CBT 第1回試験」の申し込みが始まりました。
この英語の民間試験を利用したシステムの正式名称は「大学入試英語成績提供システム」といいます。このシステムに参加する団体は合計6団体、そこから22の試験に枝分かれしていきますが、ここでは最も利用者が多くなると思われる、英検CBTとS-CBTについてみていきます。
英検S-CBTを含む、民間4技能試験がすべて延期されました。詳しくはこちら
そもそも「英検」はいくつあるの?
これまでの英検といえば、年に3回、学校やAIEや学習塾のような準会場、本会場と呼ばれる一般公開会場で受けるものでした。3級以上は1次試験に合格すると2次試験に挑むという形式でした。この「従来型英検」は、上記の大学入試英語成績適用システム(以下、成績提供システムと記載)には入っていません。正確には、認められなかったということです。理由としては1回のテストで4技能をはかれないということが言われていました。ただ、英検側もこの従来型が通らない可能性をわかっていたため、同時に3種類の英検を準備していました。それが「英検CBT」と「英検 1day S-CBT」と「英検 2days S-Interview」です。以下にまとめます。
従来型の英検では英語成績提供システムでは使えないことがわかるかと思います。
受けたくても受けられない「英検 2days S-Interview」
そもそもの参加要項に「2年以上の実施実績」という項目があったと記憶しているのですが、無理やり3つの試験を通した結果、最終的に「英検 2days S-Interview」は一般的な対象者に向けての導入を断念、その理由は面接官方式では、受験者と面接官が顔見知りである可能性を排除できないため(要は試験側と受験者の利害関係を完全にゼロにできない)というものでした。そのため表向きには「CBT方式では対応できない合理的配慮が必要な方専用の試験方式」として、3つの新形式の中では受けることが難しい状況(もちろん、合理的配慮の必要な方のためにこういったテストを準備し、機会を与えてくれた英検協会は素晴らしいと思います)です。スピーキングで、タブレット、パソコンへの録音方式ではなく、対面式のほうが話しやすいという方でも、録音式しか選択肢がないのが現状です。
残るは英検S-CBTと英検CBT。
そうなると、残るのは英検CBTと、英検S-CBTです。どちらもCBTとついているので似ているのかなと思いますが、かなり別のテストです。違いをまとめてみましたので、以下をご覧ください。
いかがでしょうか。CBTとありますが、実際にはS-CBTの場合はコンピューターのみで受けるのはスピーキングのみで、リーディング、ライティング、リスニングはパソコンで問題を見ながら、紙に書くというものになります。そうなると当然リーディングの時に線を引いたりできないのかな?と疑問が浮かぶわけですが、公開されている映像では、ペンツールなどがあり、任意で問題文に下線を引いたり、蛍光ペンツールでハイライトできたりもするようです。それ以外には受験可能回数が違います。
英検CBTは実際には受けられない?
見出しに「英検CBTは実際には受けられない?」と書いた最大の理由は、その受験日程と試験会場にあります。英検CBTでは、受験日程は第1回(4月~7月)の期間で4日間の日を設け、日本国内の15都道府県、24エリア、27の受験会場で受験できます。一方で英検S-CBTは第1回(4月~7月)の期間の毎日を使い、全国186エリアに260個のテストセンターを作ろうとしています。受験会場だけを見ても東京では英検CBTは6エリア、6個のテストセンターに対し、S-CBTは15のエリア、26のテストセンターが設置される予定です。圧倒的な差ですね。さらに試験日程ですが、英検CBTはあらかじめ決められた日曜日の4日間だけに対し、S-CBTにおいては平日は夜のみという制限はあるものの、基本は毎日です。
ここで考えたいのが、受験者数です。2019年のセンター試験受験数は約57万人、試験会場は693か所でした。ほかにもテストはありますので、全員が英検を受けないとしても、そこは4技能試験では最も有名な英検ですので、大体半分の30万人が受験すると考えた場合、英検CBTのように全国での受験会場しかなくそのうえ、受験日が4日間しかない、その申込みとなれば多くの人が殺到し、希望の場所、日時で取れる可能性が低くなることは間違いありません。最大受験可能な人数を英検は公開していませんが、単純に考えて英検CBTを1会場で100人が受けられたとしても100人×27会場×4日間=10,800人です。30万人全員が希望した場合は倍率は28.7倍、医学部と同じくらいの倍率ですね。当然、30万人全員が希望しないとはいえ、英検CBTを受けるにはかなりの運が必要そうです。さらに、忘れてはいけないのは、英検CBTは大学入試にかかわる高3生のみではなく、すべての人が対象です。大学入試に使いたいから優先的に席を回してくれるといった配慮はありません。なお、この2019年度第3回の座席数は 1回につき567席です。全国に会場数は8か所で、受験可能者数は全会場合わせて189名、それを朝、昼、午後と3回繰り返すのですがそれでも1回で567人しか受けられません。
とはいえ、これは英検協会もわかっていたことだと思われます。なぜなら、その受験方式において、ライティングがパソコンでのタイピングというのが一番高校生徒の親和性が低く、英検協会としてもそこまで多くの受験者が英検CBTを使わないだろうと考えていたはずです。教育分野にもIT技術の流れは入ってきていますが、まだまだ学校の英語の課題提出、テストはペーパーへの記載がほとんどです。100文字程度のライティングを日々パソコンで打ち込んでいる生徒は少数派でしょう。パソコンのほうが慣れれば手書きよりも早く、多くの文字を書けることは間違いありませんが、今から英検CBTのためだけにパソコンでのライティングを頑張ることへの意味があまりありません。このことから、英検CBTを本流に据えることは英検協会としても考えていなかったと思われます。
受けるならS-CBT一択?
そうなると、大多数の高3生が受験するのは、S-CBT一択です。もちろん、ライティングはパソコンでも得意、受験会場の倍率の高さも潜り抜ける強運がある、という方は英検CBTもお勧めですが…。英検協会が最も受験者を流したい英検S-CBTは、受験会場の準備からしてもかなり気合が入っています。なんと186のエリアに260のテストセンターを設けます。現状の英検CBTの約10倍。かけるコストも相当なものでしょう。また、テストの形式も、問題自体はパソコン画面に表示されますが、回答は紙のマークシートへのマーク形式、ライティングも問題自体はパソコン上の画面ですが、回答は手書きで紙に書くタイプで、これまでの学習方法や、従来型英検での受験経験が生きてきます。
申込方法を見てみましょう!
さて、S-CBT(S-Interviewも大部分で同じです)で大きな特徴としてあげられるのが申込方法です。なるべく多くの学生が受験をできるようにとの配慮から、2段構えにして、予約申込と本申込を行います。詳しくは以下の比較表をご確認ください。
この左側の「予約申込」が9月18日から受付開始です 。
気を付けないといけないのは、「予約申込」をしていないと「本申込」ができない…と私も思っていたのですが、昨日(9月17日)の英検協会からの発表であったように、
(中略)…したがいまして、予約申込なしで本申込をしていただきましても、理論上は受験いただけるかと存じますが、こればかりは新方式であり、都道府県内と申し上げましても一部のエリアに集中してしまうことも考えられ、また予約申込された方から優先的にご希望をご選択いただくこともあり、弊会としましては、「S-CBT」を受験いただくことをご希望なさる受験生様には予約申込をお勧めさせていただいた次第です。
と、「予約申込」なしでも「本申込」ができるとなっていました。8月末の塾対象の説明会では「予約申込した方のみ本申込ができる」と記載されていたので、英検協会に確認したところ、『「予約申込」しなくても「本申込」は可能。しかし席は確保されないので、英検協会としては予約申込をしてから本申込をすることをお勧めする』とのことでした。
ですので、やはりここは受験機会を失わないためにも
①10月7日までに予約申込を行い、
②今年の11月の共通ID集中発行期間中(2019年11月1日~11月14日)に「共通ID」を申請し、
③来年2月からの「本申込」に早期に申込む
というのが、一番スムーズです。
なお、上記の共通ID集中発行期間に申し込んだ場合、共通IDの発行が2020年1月中旬になります。この機会を逃すと、第1回の本申込期間である、2020年2月9日~2月25日の間には共通IDを入手する手立てがなく、予約申込をしても本申込ができなくなります。共通IDは学校を通して申込をするため、取得漏れということは考えにくいですが、万が一ということもありますので、各自の学校で確認をしてください。
お申込み期限に変更がありました! 11月7日(月)に延期されます!
最後に
新しいシステムの初年度になりますので、いろいろな情報が錯綜し、現場の先生方もそうですが、該当学年のお子様が一番大変です。様々なところで、大学入試改革に反対の声も上がっていますが、新たに文部科学大臣になった萩生田大臣も課題点は認識しつつも、ドラスティックな改革はされそうにありません。ただ、時間だけは流れていき、そうこうしている間に現に4技能試験に対応した、英検のS-CBTの申込は始まりました。そして申込期間がはっきりしているため、その日を過ぎればどうしようもありません。まだまだ高2生で将来の進路が明確になっていない中、プレッシャーだけが与えられている状況ですが、正確な情報とともに、希望の進路に進めるように、保護者の皆様もフォローしていただければと思います。