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TOEIC撤退! どうなる4技能試験!? 

7月2日、少し衝撃的なニュースが発表されました。現行のセンター試験に代わり、2020年からの大学入試英語成績提供システムで採択された英語民間試験の中から、TOIEC®が撤退することを発表しました。(発表はこちら。)
TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)によると、 撤退の理由は、

本システムへの社会的な要請が明らかになるにつれ、それらに対応するためには、受験申込から、実施運営、結果提供に至る処理が当初想定していたものよりかなり複雑なものになることが判明してまいりました。このため、現時点において、協定書締結に向けた大学入試センターとの協議が完了しておらず、当協会として本システム運用開始において責任をもって各種対応を進めていくことが困難であると判断いたしました

とのことです。

2020年の大学入試改革についてはこちら

どうなる4技能試験?

今回の撤退は以下の3点において大きな意味を持つことになります。
①一度認定されたテストであっても、民間試験側の一存で撤退できるという前例を作ったこと。
②今後も、認定された試験が撤退をする可能性があること。
③どのテストを目標に準備していくか。英語のテストの未来は?

それぞれ、どうなるかを見ていきましょう。

①撤退の前例を作るということ

これはその他の4技能試験から見ても大きな意味を持つことになります。採択する段階では勢いもあり、流れに乗っていこうとする潮流があったと思いますが、実際に認定された後、おそらくですが、導入すべきシステムやそれに伴う事務手続きの煩雑さ、試験実施にあたっての公平性、試験結果の機密保持など、次々と課される作業にたいし、及び腰になったことは想像に難しくありません。中には、認定されたものの、実際の受験者数と、今後の受験者数予測を考えても、決してコストが合わない試験もありそうです。この辺りは民間ですので、経営的にも収益が上がらないとなれば、撤退を考える試験業者を加速させる流れになる可能性もあります。

②今後、他のテストの撤退の恐れは…。

実際に撤退する可能性があるテストはあるのでしょうか。勝手に分けてみました。

ほぼ100%撤退しない

①英検
②TEAP
③GTEC

①の英検は言わずもがな、非常に積極的に4技能試験のための設備投資や会場準備、新テストの導入などを行っています。その過程において懸念された運営コストの肥大化も受験料引き上げを早々に行い、2019年から値上げを敢行、同時に4技能試験に入らなかった従来の英検はできるだけ準会場に流す施策(受験料に差をつけ、本会場が準会場に対し1000円増し)をしています。受験者数も低年齢層から増加の一途であること、各大学の採用状況を見ても、英検は有効に使われているのでこの機会を逃すことはないと思います。

一方で、新しく4技能試験に対応した英検として、S-CBTとS-Interviewという2種類のテストを作りましたが、S-Interviewよりも英検CBT、S-CBTを主軸としていく方針のようです。この理由としては、S-Interviewは①障害のある方への対応、②試験官と受験者との利害関係の有無を完全にゼロにできないため公平性の担保ができない、の2点があるそうです。

②のTEAPに関しては、まだまだ受験者も少なく、新しいテストというイメージですが、母体となる組織は英検協会のため、導入のためのシステムやノウハウに関するコストは分散するため、イニシャルコストの負担はほかのテスト比べれば少なくなるはず。テスト内容から見ても、英検との違いとして、合否ではなく、スコアによるレポートのため、ある大学のある学部のスコアには届かなくても、別の大学、または別の学部にはアプライできるという可能性があります。特に東京の地域の大学ではTEAPのスコアだけ他のテストから見ると易しくなっている学部もありますので、TEAPを受けておくことが有利に働く例もあります。さらにレベルが英検でいうと2級~準1級レベルが中心になりますので、こういった大学入試などの利用を見越して作られたテストにもかかわらず、撤退という話になると、その目的からしても、意味がなくなります。需要の点からいってもある程度の需要が見込め、コストも抑えられるのであれば、続けていくというのが予想です。

③GTECです。進研ゼミで有名なベネッセが作ったテストです。GTECは受験者数で考えるとまだまだ英検よりも少なく3分の1くらいの規模ですが、ベネッセの営業力はすさまじいため、すでに私立中高を中心に、多くの学校で取り入れられている試験です。また、IT技術を使ったCLASSI(クラッシー)や進研模試などで、十分学校側とのパイプも強いため、受験者数増大を目指してこれからますます力を入れていくと思われます。ただし、一部で批判がある通り、GTECのための問題集やテキストがほとんど出ておらず、唯一の問題集といえるテキストがそもそもテストを作っているベネッセが作っていることから、一つの会社が入試事業と教育事業を手掛けることに対して商業主義だという批判的な見方をされているのも事実です。とはいえ、これは英検協会と旺文社との関係でも同じことが言えますし、テキストについては、他業者の参入があれば薄まる話です。これらを完全に解消するためには、民間試験を利用するという、文科省の方針そのものが変わらない限り、どうしようもない点です。何はともあれ、勢いのあるTESTですし、現時点では高校単位(本当はだめだったのですが)で受けることもできるGTECの浸透度は、他のテストの追随を許しません。

70%以上、撤退はしないのでは…。

①アイエルツ(IELTS)
②TOEFL®

①のIELTSは国内では英検協会が窓口です。もともと北米の大学で使われていたTOEFLに対し、イギリス系の大学入学のために使われているテストです。試験時間も長く、スピーキングテストは対面式+録音もするという、かなりのコストがかかっているテストの分、受験費用も高額(25,800円)です。母体が英検協会ということもありTEAP同様、イニシャルコスト、および運営コストが抑えられる点が有利です。ただし、受験者数はというと近年増加傾向があるとはいえ、平成28年で国内約37,000人、全世界で290万人となっており、将来イギリスへの留学を考えているわけでなければ、あえて選んで受けたいテストではないかもしれません。国際的な信頼度は非常に高いテストですが…。

②のTOEFLは北米系の大学に入学するために使われるテストです。すでにPBT,CBT,iBTと3回形を変え、もともとアメリカの大学入学の際は、直接TOEFLを運営するETSからテストスコアがレポートされていたためノウハウもあり、受験費用も235ドル(約25000円)と高額のため、為替差益を鑑みても、コストパフォーマンスは悪くなさそうです。一方で、TOEFLに対するイメージが、もともと海外留学向けに作られていることもあり、リスニングの題材が大学キャンパスライフを想定したものだったり、リーディングも大学講義の内容だったりと、難易度が高いイメージが常に付きまといます。そのため、聞いたことはあるけど、難しそうだからという理由で実際の受験者数はそこまで伸びないと思われます。
個人的な観点ですが、かつて留学し、TOEFLを勉強した者からすれば、TOEFLは英語力をかなり正確に測ってくれるテストです。スピーキングテストにおいても、時間が他のテストより長く、インテグレーテッドタスクという、講義を聞き、文章を読み、それから話すといった実践的な出題形式になっていることも、非常にテストとしての信頼性が高いイメージですので、このテストで高得点が取れる生徒さんは、かなり英語力があると思います。

もしかすると撤退もありうる…?

①ケンブリッジ英検
②TEAP CBT

①ケンブリッジ英検は国内での受験者数が非公開のため、正確な受験者数がわかりません。ただし、同じ英検と名の付くものでも、いわゆる「英検(実用英語技能検定)」と比べても知名度の低さは否めません。受験者数を確保しTOEICが音を上げた事務作業などの煩雑さを乗り越えてまで、ケンブリッジ英検が大学入試英語成績提供システムに参画する必要性は不明です。

②TEAP CBT
上記でTEAPは安泰と書きましたが、CBTのほうはどうでしょうか。実際に撤退ということはなくとも、いわゆるTEAPに人を流すための施策をするということも考えられます。その最大の理由は受験者数。なんと平成29年の実績で約700名とのことです。社会的にも多くの選択肢を残してくれることはありがたいことですが、逆に心配になる受験者数です。

③今後4技能試験はどうなる?

上記のように、各種テストを見ていきましたが、おそらく英検、GTECは今後方針が大きく変わらない限り自ら撤退ということはないと思います。 ただし、他のテストが撤退し、英検とGTECだけになると、英検協会とベネッセの覇権争いのようになり、間にいる受験者が置いてきぼりになってしまいます。 さらに世論を受けて、この2社が撤退するようなことになれば、そもそも民間テストの導入という施策自体が間違えだったと結論づいた時になるでしょう。現時点では、自ら撤退を考えていないであろうこの2種類の試験の受験を考えている場合は、早期から準備しておくことはよい戦略だと思います。 今回のTOEICでもそうですが、数年かけてせっかく準備しておいたテストがなくなってしまい、ゼロから勉強をし直すのは受験生にとっては多大な負担です。

一方で、今回のTOEICの撤退は、4技能試験の有効性、正当性について疑問が出ている中、再び大きな議論を巻き起こすきっかけになる可能性があります。そもそも、大学入試に、4技能試験を導入することは、「民間業者との癒着」や、「そもそも導入の結論ありきで議論すらなかった」など、さんざん批判されてきました。つい先日も、有識者8000人の署名を従え、中止の請願書が衆参両院に提出されました。請願書には各種のテストの目的が違うため、一律に英語力を測定できない点や、受験場所や費用の点により、居住地や経済状態によって格差が生まれる点が指摘されていました。さらに今回のTOEICの撤退を受け、「民間は無責任だ」という声が大きくなることが予想されます。さらに、そういったことを想定せずに、少々強引に導入を決定した文科省にも、さらなる批判の声が寄せられることも考えられます。民間組織である以上、テストを実施する社会的意義はわかりつつも、採算に合わないことはできない、これを証明してしまったため、残りの7種類のテストもどうなるかという点に対しては懐疑的な目を向けられます。特に教育の分野なので、無責任なことは許されない(それも加味してのこのタイミングでの撤退であることは間違いないのですが)ため、テスト自体の公平性を担保し、地域と経済力の格差を受けず、儲からなくても責任をもって実施してくれるテストを誰が作るのかという議題になると、これはもう国がやるしかないというのが最終結論だと思います。

テストの最終形態とは?

ただし、これらはあくまで大学入試という最終ゴールを置いているからの議論です。それこそ、大学側が最終的にだれを入学させ、だれをさせないかを決めるのは、アドミッションポリシーにのっとって勝手にやればいいことです。そこをよくわかっているので、東大、京大をはじめ、4技能試験はあくまで参考程度と考えており、2次試験に大きなウェイトを置いているのです。旧帝大の中で4技能試験に積極的に見える阪大の場合は、もともとセンターと2次試験の比率がかなり偏っており、2次試験重視の傾向は医学部などを見ても今後ますます高まりそうです。つまり、一見4技能試験にフレンドリーに見えて、もともとあまりそのスコアを重要視していないということです。

それよりも日本の英語教育をどうするかということのほうが大切です。4技能試験があるから今から頑張りましょうではなく、英語力を高めていく過程において、18歳時点の英語力を図るためのテストが大学入試の英語の科目の役割です。このように手段(4技能テスト)が目的になるのは本来的ではありません。そもそもの英語力を高めたいという思いも、①グローバル化した社会で、日本の国際競争力が下がっている→②その理由の一つが日本人の英語力、とりわけ話す力が低い→③話す力を高めるには受験で話す力を入れたらいい→④現行の試験では難しいので、民間テストを使おう、という、ちょっとおかしな目的から発しています。英語は言語、当然コミュニケーションという対話において使われるものです。決してテストのためのものではありません。

現実的な話をすれば、今は4技能試験で間をつなぎ、将来的にはアメリカのSATのような、国が行うテストに移行するのかなと思います。今小学生の子供さんが大学生になるときにはもっとシステムが変わっている可能性もあります。とはいえ、英語の力がしっかりとついていれば、どんなテストが来ても大丈夫です。それよりも、英語の力を使って、何を発信し、何ができるのかを問われる時代が必ず来ます。今は英語ができることが一つの特色になるかもしれませんが、この先の時代英語ができて、それから何ができるのか、が問われてくると思います。

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