小学校の英語教育にすべてお任せで大丈夫?英語専門校が現在の小学生の英語教育を考察します。
英語による可能性の広がり
コロナにより、大きく生活環境が変わった近年、小学校の英語教育も大きく変わってきました。小学校での英語必修化・教科化により、コロナ禍にも拘わらず、「英語スクール・英会話」は「小学生にさせたい習い事」の上位に常に入っています。ちなみに2位以下にはプログラミング、スイミングといったスポーツ系、音楽系と続きます。プログラミング以外は、どれも習い事としては歴史が長く保護者世代の方も小さいころにされた方も多いのではないかと思いますが、小さいお子様に習い事をさせる本質的な理由は、「お子さまの可能性を広げるため」、ということが一番の理由ではないかと思います。そこから見ると、英会話が一位になる理由に、英語ができることで、可能性が広がる、以上に、英語ができないと未来の可能性が狭まるかもしれないという不安がある、ということの表れでもないかと思います。
小学校の英語教育の現実
急速に導入された小学校の英語教育ですが、当キャンパスに寄せられるお問合せで、「小学校で英語を勉強してきたはずなのに、中学校でまったく英語ができない」という声が増えてきています。これは、小学校と中学校での英語の目的に大きな違いがあるためです。
小学校英語の大きな目的は、英語を楽しく感覚的に捉えて学ぶこと。小学生向けの教科書を見ると、英会話をできるようになることを重点的に作られています。低学年から感覚的に英語に触れ身につけていこう、ということです。発音など、実際に年齢が低ければ低いほど身につけやすい部分もあります。
一方、中学英語の目的は、文法で体系的に英語を習得すること。いわゆる、「書く」中心の英語です。「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能の大切さを言われていますが、まだまだ「書く」=文法の「理屈で理解する」ことが重要視されています。
この「感覚」から「理屈」への移行でできる隔たりは、2020年度に導入された小学5,6年生への教科型と言われる英語の授業で埋められるはずでしたが、現状の学校の様子から、そんなにうまくいっていないようです。
誰が英語を教えるのか?
中学・高校の英語教師には、英語の教員免許がもちろん必要です。一方、小学校で英語の授業を担当する教師の8割以上が学級担任ですが、その内英語の教員免許を取得しているのは6%(公立小学校教員)です。また、教職課程で英語必修の義務化は、3年前から。現在の小学校の先生のほとんどは、英語の教え方を大学では学んでいないのです。
現場の英語力を補うために、民間の英語指導者認定資格を受けた方を導入していっているのですが、こちらも小学校の数に対して人材不足です。近畿では、小学校約2,800校に対して、ある一定の英語力と指導力の認定を受けた指導者は600人弱しかいません。これが、急速に英語教育を小学校に導入した結果です。
この「すきま」は、具体的に表れてきています。例えば、中学受験をされて私学に行く方は、入学前の春休みの課題に注意してください。多くの私立中学では、英語のワークブックが入学までの課題として渡されます。その範囲は、中学1年生の文法を全部、過去形含む(場合によって過去進行形)、です。これは、文法をしっかり理解していなければ解答できません。実際に、AIEで例年2月から行っている「新中1生のための英語先取講座」を受講した小学生が持ってきたワークは、ほとんどが「書く」課題になっており、単元もしっかりと中1の範囲を網羅したものとなっています。このワークブックを正確に答えられていた生徒は、ほとんどいませんでした。AIEとしては、「これはできなくても問題がないから、今からしっかりと中学生の準備をしていきましょう」と、してサポートを行いましたが、これだけ渡された生徒さんは、まったく正解できずに愕然とするでしょうし、それをみて、保護者の方もショックを受けてしまうでしょう。そうして、中学校に入学する前に、英語に対して苦手意識と、できないという先入観を植え付けられてしまうのです。これも中学校の先生が、小学校での英語教育の実態を見誤っているため、入学前から英語嫌いの生徒を作り出してしまっているのです。
子供の成長に合わせた英語指導を
AIEでは、小学生には特に4技能をバランスよく学習できるように、クラスをしています。外国人講師でリスニングや発音の力を養い、バイリンガルの日本人講師で文法を使って英語を「理解」していきます。英語嫌いにならないことと同時に、正しい英語を身につけることを大切にしています。英検にも積極的にチャレンジしており、小学生低学年からAIEで学んでいる多くの生徒は、6年生までに英検3級(中学英語レベル)に合格し、中学校の英語の授業もスムーズに受けられているようです。
「学校で授業もあるし、中学受験でも必要でないから、学校以外で英語を勉強しなくても大丈夫」というのは、中学校へ進学したときに、大きなつまずきになりかねません。グローバル化が大きく進む中で、英語はますます必要とされてきています。その英語に対して、子どもたちに苦手意識を持たせてしまうようなことは、極力避けたいものです。