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従来型英検とS-CBT その違いとお勧めポイントを詳しく解説します!

神戸の御影、岡本、芦屋、西宮にある、英語・英会話スクールのAIE英語専科です。今回は、実用英語技能検定(以下:英検)についていろいろとまとめてみました。いまだ受験者数、そして大学入試における外部試験利用でも、トップの利用状況である、英検。実は、この1年でいろいろとシステム面の変更がありました。今回はそれらを図解しながら、システム面の説明と、どのタイプの英検を受けるのが良いかを英語専門校の視点から解説していきます。


<そもそも今(2021年10月現在)ある英検は何種類?>

答え 2種類。従来型英検と英検S-CBT。

※低学年用の英検Jrと教員向けの英検IBAは除外しています。

昨年までは、「英検20201day S-CBT」、「英検CBT」、「英検2020 1day S-Interview」、「従来型英検」、などなど、たくさんあった英検も統廃合(?)がおこなわれ、今では上記の2つです。それぞれ違いを見ていきましょう。

項目従来型英検英検S-CBT
受験日数2日間1日
受験可能級すべての級準1~3級
試験の順番リーディング&ライティング

リスニング
上記1次試験合格後
2次試験としてスピーキング
スピーキング

リスニング

リーディング&
ライティング
回答方法 リーディング問題: 紙面
解答:マークシート
問題:画面上に表示
解答:クリック
回答方法 ライティング 問題: 紙面
解答:手書き
問題:画面上に表示
解答:手書き/タイピング
回答方法 リスニング 問題:紙面
解答:マークシート
問題:画面上に表示
解答:クリック
回答方法 スピーキング 問題:試験官から口頭
解答:口頭
問題:録画が放送される
解答:吹込み
合否判定1次試験合格で合格(4級・5級)
1次試験合格、2次試験の合格をもって合格
(1級~3級)
RWLのスコアで1次試験合否判定をし、
合格の場合はSのスコアでも2次試験
の合否判定を行い
両方のスコアが合格基準点を
超えていれば合格
CSEスコア1次試験不合格の場合、
3技能分のみとなる
1次試験不合格の場合でも、
4技能分のスコアが出る
受験場所準会場 / 本会場本会場のみ
受験回数各回1回のみ各回2回まで
(第2回は例外で5回まで)
1次試験免除ありあり(8月21日以降の受験)

いかがでしょうか。1日ですべてが終わるS-CBTに対して、従来型英検は1次試験と2次試験が別日となっており、2日間かかります。受験できる級も従来型はすべての級を受験できますが、S-CBTは準1、2級、準2級、3級の4つの級のみとなります。また試験の受け方、答え方が変わるため、若干スコアリングのしやすさに影響が出てきます。特にライティングにおける手書きとタイピングとでは、圧倒的にタイピングの方が文章の推敲がはかどる(コピーアンドペーストがあるため)=ハイスコアをとりやすいと思うのですが、その分試験時間の調整や、要求される文字数にも調整が入らないのは、国際基準ではなく、日本基準なのだと思います。余談ですが、以前に存在したTOEFL CBTでは、ライティングを手書きとタイピングが選べましたが、基準(説得力を持たせるに十分かどうか)となる文字数が倍くらい変わっていました。

具体的な英検のタイプにおけるメリット、デメリットについては、後ほど記載します。


<受験料は?>

さて、年々お高くなる、受験料ですが、こちらも図解します。

ご覧の通りですが、S-CBTの方が、従来型本会場受験よりも500円安いです。それよりも恐ろしい価格差がついているのが、従来型の本会場受験と準会場受験です。コロナウイルスの影響で、破格で借りることができた学校会場=本会場が軒並み使えなくなった影響を受けて、本会場を一般の会議室などを活用することが増え、この2年で本会場での受験料が一気に上がりました。昔は500円ぐらいの差だったのですが、今では2000円以上の価格差が付きました英検協会からしたらできるだけ準会場に流したいという意図が見えます。なお、主催者側の選択ですが、準会場受験の場合、2次試験を準会場で実施することもできるようになりました。そちらを選択した場合は、さらに400円ほど受験料が下がります。

<受験回数について>

英検の受験回数ですが、従来型は年に3回しかありませんでした。そのため第1回で不合格の場合、第2回まで待つ必要がありました。ですが、S-CBTができたことにより、同一期間内に受験できる回数が増えました。

従来型は第1回が5~6月、第2回が10月、第3回が1月となっており、S-CBTに関しては、回を期間で区切り、第1回が(4月~7月)、第2回が(8月~11月)、第3回が(12月~?月)となっています。

そのため、第1回の期間の間に、従来型で1回、S-CBTで2回、の合計3回まで受験ができるようになりました。しかし、この2021年第2回に関しては、S-CBTを最大5回まで受験ができ、従来型と合わせると、合計6回の受験ができるということになっています。おそらくですが、これが好評(大学入試や推薦に必要な資格として、英検の需要が高いため、それに合わせた駆け込み需要があります…。)であれば、来年以降も継続される気がします。

まとめると下記の図の通りです。

従来型英検の
受験回数
英検S-CBTの
受験回数
その回における
最大受験回数
第1回
従来型は5月か6月受験
S-CBTは4月~7月の期間
1回のみ最大2回最大3回
第2回
従来型は10月受験
S-CBTは8月~11月の期間
1回のみ最大2回

2021年は最大5回!
最大3回

最大6回!
第3回
従来型は1月受験
S-CBTは12月~?月の期間
1回のみ最大2回最大3回

<受験内容について>

これは基本的に4技能すべてを測るテストですので、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4技能が課されます。なおS-CBTでは受験の順番が決まっており①スピーキング→②リスニング→③リーディング&ライティングとなります。それよりも重要なのは回答方法です。意外とクリックとマークの塗りつぶしでは、かかる時間が変わりますので、後ほど、それも踏まえてメリット、デメリットとさせていただきます。


<合否判定について>

まずは1次試験の合否についてです。これは従来型の場合は1日目に受ける試験で、これで1次試験合格点に達しなければ、2次試験(スピーキング)の受験資格すら与えられません。S-CBTは1日で、スピーキングも含めて試験をしますが、合否判定については、まずは1次試験相当となるリーディング、ライティング、リスニング(以下、R/W/L)の3セクションのCSEスコアが1次試験合格点に達しているかを計算し、合格点を超えていた場合、スピーキングのCSEスコアが合格点を超えているかが判断され、合否が決まります。

具体的にどのくらいの点数をとればいいかですが、2015年からCSEスコアが導入されましたので、それまでのように6割ぐらい正解すれば合格といったアバウトなやり方では合否予測は立てれません。大切なのは正答率ではなく、各セクション(R/W/L)において、正解した数=素点に対し、どれだけのCSEスコアが割り振られるかです。3つのセクションのCSEスコアの合計点が1次試験合格点を超えているが判断されます。

具体的には下記の表をご覧ください。


<2次試験について>

3級以上は2次試験があります。2次試験は別日のため、予定などの影響で受験できない場合、また2次試験で落ちた場合のために、1次試験免除期間というのがあります。これは1次試験に合格した回を含め1年間は1次試験を免除されるというものです。

実は、この1次試験免除システムは、従来型英検にのみ、ありました。しかし2021年8月から、英検S-CBTでも2次試験のみの受験(スピーキングだけして帰る)が可能となりました。詳しくはこちらをご覧ください。


<従来型英検と英検S-CBT、どちらを受験するのがお勧め?>

これは必ずこちらがいいということは言えませんが、一般論と、よりハイスコアをとるためのTIPSを加味して以下に項目を上げてみます。

セクション従来型英検英検S-CBT
スピーキングメリット
 対人のため、普段から練習はしやすい。相手の反応を見ながらしゃべれるため、対人が強い人はお勧め。
 低学年のあいだは、特にアティチュードのスコアをとりやすい。

デメリット
 直接人に向かってしゃべるのが苦手な人。
 試験官との相性問題が派生するため、試験官の発音が悪い場合や、態度が気になる場合は、実力を発揮できない。
メリット
 質問の聞き返しが1クリックで完了。
 採点精度が一定(と思われる)。

デメリット
 機械への吹込みのためしゃべっている感覚が希薄。アティチュードにつながる一生懸命さや努力している雰囲気は伝わらない。
 どのようにアティチュードをつけているのが不透明。また、年齢によるボーナス的なバイアスは派生しない。


リスニングメリット
リーディングの時間が余った時のリスニングパート選択肢の先読みが使える。事前に選択肢を見ておき、質問の予想を立てることで正答率を高めることができる。
 
デメリット
 音源の再生環境・および受験者の着席位置といった環境により聞こえにくい可能性が起こる。 
メリット
 ヘッドフォンで聞くため、音声の環境は圧倒的にいい。
 
デメリット
 選択肢の先読みができない。
 一問聞き終わるごとにクリックして次の問題に選択肢を進める必要がある。また、誤動作で問題をスキップしたりする可能性がある。
リーディングメリット
 スラッシュリーディングのためのスラッシュ入れ、消去法のための選択肢の削除などが手書きのためやりやすい。
 選択肢・問題の一覧性が高く、容易に他の問題に移行しやすい。

デメリット
 特になし。
メリット
 特になし。
 
デメリット
 赤文字、マーカー等、いれることはできるが、マウス操作のためやりづらい。メモが取れない。



ライティングメリット
 手書きという従来からの方法のため、慣れている。特に普段から英語を手書きすることに慣れている学生は、簡単な単語のスペルミスが起こりにくい。
 問題冊子の空いたスペースに考えを書きながらまとめることができる。

デメリット
 タイピングが選択できず、コピーアンドペーストが使えない。書き直しに時間がかかるため、構成に妥協が生まれる。



メリット
 タイピングではコピーアンドペーストが使えるため、構成の変更が容易。後ほど内容、構成変更をすることへの心理的なハードルが下がるため、アイデアをまとめ切る前に書き出すことができ、書きながら構成を練ることができる。
タイピングが速ければ、手書きより確実に速く文字を打ち込める。
 
デメリット
タイピングのスペルミスに気が付きにくい。手書きでは間違えない単語を、打ち間違えたりする。
回答方法全般メリット
 家で容易に練習が可能。

デメリット
 マーク抜けの可能性がある。マーク位置の間違いがあった場合、訂正に時間がかかる。
 マークシートのため微々たるものだが解答に時間がかかる。特に、選択肢を変える時には、きれいに消して、マークするという2段階作業が必要。
 
メリット 
 クリック式のため、回答を選んだら速い。答えを変更するときにも消しゴム不要のため、速い。
 
デメリット
 常に画面を見るため、集中力が必要。また、リーディングの時にはスライドさせる必要があるため、一覧性が低い。
 全体表示と、ナビゲーションが両立しない
受験機会回数は少ない。受験会場で準会場が選べれば、なじみの場所で受験ができる。回数が多い。自分の希望する場所、時間に受けられるかは、運次第。一つの会場の席数はそこまで多くない。

こうして並べてみると甲乙つけがたい2つのテスト方式です。個人的には得意な分野に合わせて選ぶのがお勧めです。

リスニングが得意

 S-CBTがお勧めです。ヘッドフォンで集中して音が聞きやすく、音源の再生環境に左右されることがなくなります。

リスニングがそこまで得意ではない

 従来型がお勧めです。正答率を上げるために、選択肢の先読みをしましょう。リスニング中にノートテイキングが簡単にできる点も有利に働きます。

ライティングが得意

 S-CBTでタイピング選択がお勧めです。タイピングが人並みにできるという前提ではありますが、コピーアンドペーストで文章の構成を後から変えられる点、文字を書くよりも打つ方が速いことからも、タイピングを選択する、で間違いありません。

リーディングが得意

 従来型をお勧めします。一覧性が高いこと、文章に直接書き込みをしながら考えをまとめることができるためです。

いかがでしたでしょうか。最後は自分に合ったほうのテスト形式で受けることが大切です。自分の得意分野を考えて、ベストの結果を出せるようにしてください!
初めて、S-CBTを受ける方はこちらに体験版があります。準2級ですが、ライティングのやり方も本番同様にできますので、一度お試しください。パソコンでのアクセスがお勧めです。
https://www.eiken.or.jp/s-cbt/demo/2021.html


<受験回数のお勧め>

 これはライティングが入ってから、特に感じることですが、ライティングのトピックは選択できないため、回によって、書きやすい内容、書きにくい内容が分かれてしまいます。特に学生の間に取得したい最終ゴールとなる準1になると、4つの視点のうち2つを必ず使う形式のため、トピックに合わせて4つの視点がぴんと来ない場合は、点数が伸びません。つまり、ライティングは出題がされた時点で、運要素が強くなるということです。

 さらに、その採点にばらつきがあることは、英検は特に顕著です。毎回採点者の採点基準に若干のずれがあるため、優しい人に当たればいいのですが、厳しい人にあたると、点数が伸びません。これも運要素です。

 となると、特に準1レベルを多く受ける中学2年~高2年齢の方は、速めにタイピングになれるようにして、S-CBTによる受験をできるだけ多くすることをお勧めします。運要素が出てくる分、回数によってそのネガをつぶし、得意な内容、書きやすい内容の時に一気に点数を稼ぐという考え方です。また、少々内容に自信がない時でも減点されないように丁寧な文法で間違いが少なく書ければ、優しい採点者にあたった時に点数が伸びる可能性もあり、ライティングでの高得点は、合格に即直結します。

 費用が掛かるとお考えになる方も多いと思いますが、実際に英検準1級を取得した場合には、大学入試でも英検の見込み点数が満点というところも多く(関関同立、GMARCHでも学部によっては100点換算です)、また総合型選抜の出願条件などにも準1級が必要な場合も多いため、長い目で見たときには、大学受験での受験料を減らすという選択につながります。私学の場合は1学部20000円~30000円が相場ですので、それを考えれば、速めに英検を取れるように、受験回数を増やす選択も良いのではないかと思います。


<まとめ>

今回は、いろいろとシステムが変わったこともあり、従来型英検とS-CBTをまとめてみました。多くの方は従来型を受ける方が多いと思いますが、昨今のオンライン授業などの影響もあり、タイピングに慣れ、オンライン越しでのスピーキングにも慣れてきた世代が今後多くなると思われます。自分の得手不得手を見ながら、実力の発揮できる形式で受験をするようにしましょう。


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